写真展「わたしたちのかたち」

お久しぶりの投稿です・・・と、思ったら、前回の投稿から2年弱経っていました・・・。

みなさま、いかがお過ごしですか。名古屋、大阪での写真展「わたしたちのかたち」が無事終了し、最後、東京は下北沢で開催が決定です!場所は私の天然スタジオから徒歩1分に昨年完成した「relord」内にある「Great Books」さんです。

写真展は3月5日(土)からと既に迫っているのですが、なんと、久しぶりに御大・武田砂鉄氏との久々の有料・有観客・無配信トークが3月9日(水)19時〜あります。つまり、このご時世にお客さんを入れてのトークです。

relord内に結構広いスペースがあり、そこで人と人の間隔を開けての開催です。80人までは入れますが、どうなんだろう・・・そこまで私に集客力があると思えず、気づいたらフォロワーが10万人を超えていた砂鉄さんに期待・・・ですが、政治などの話をするわけでもなく、結局は私の話を聞いてもらう形になると思うので、それでもよければぜひみなさんいらしてください・・・

数年前に、生放送のラジオで無言の放送事故をおこしかけて以来、全くラジオに呼ばれなくなったので、トークでは砂鉄さんの番組ゲストにお呼ばれした気持ちで楽しくやれたらいいなと思います。

ぜひお越しくださいとなかなか言いづらい状況ではありますが、よろしければぜひ!今日の12時から予約を開始しています。

イベントURLhttps://ichikouemoto-exhibitiontalk.peatix.com

写真展では他にも楽しい企画を計画中です。

写真展前日の3月4日(金)は20時から、友人で今回の写真展開催でもお世話になった編集者の柴田隆寛さんとインスタライブがあります。もう付き合いも長く、石田さんとの結婚パーティーでは祝辞をお願いした思い出が・・・私がキャリアの一番最初にお世話になった編集さんかもしれません。この辺はまた私のインスタでもお知らせできればと思います。

他にも楽しい物販企画あり!3月5日(土)の初日には、私の大好きな下北沢のパン屋・KAISOの「その日だけ復活!一子特別パン」や、KAISOのなおちゃん謹製・scentの「一子特別クッキーセット」が写真展会場で販売されます。

さらに、私がいつもお世話になっている下北沢の写真屋さん・ヒロセフォトショップさんも、私が使っているフィルムを卸してくださり、さらにお得な現像割引券まで!初日は私も在廊するのでぜひ!

どうぞよろしくお願いします。

追伸・ラジオに呼ばれないと書きましたが、来週23日祝日水曜の午前4時台の「ラジオ深夜便」にゲストで出ます。朝4時!!!もちろん収録!!!

追伸2・最近書いたウェブで読める記事のリンクを貼っておきます。

喫茶の思い出「朝の風景」(小川珈琲)

「フェルメール全作品を3週間で見たあの旅。」(MONONCLE)

「母の友2022年3月号」にはステーキ御膳のエッセイを書いています。

 

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私の主な発信は、twitterInstagramニュースレターがあります。どちらでもフォローくださいますと幸いです!

 

 

個人的な六月

6月からnoteで日記を書いています。1週間が200円で購読可能です。

noteをはじめます

個人的な六月(6/1~6/6)

個人的な六月(6/8~6/13)

 

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自粛期間中に、家でできるコメントや文章の仕事などいろいろあったのですが、備忘録として思い出してここに書いてみます。

 

・くどうれいんちゃんの新刊「うたうおばけ」(書肆侃侃房)の帯文を書きました

・she isとFRISK WHITEの特設サイトに作品を提供しました

・「GQ JAPAN」(プレジデント社)という雑誌で私たちはどう生きるか、というアンケート

・「Maybe!」(小学館)という雑誌でお金についてのアンケート

・「おやつマガジン」という雑誌で写真と短いエッセイ

・「MOMENT」という雑誌の2号で、文化人類学者の磯野真穂さんの連載で対談を

・鈴木潤さんの新刊「物語を売る小さな本屋の物語」(晶文社)で中の写真を撮りました

・WEBのshe isで日記を書きました

・WEBのTVBros.で日記を書きました

・清田隆之(桃山商事)さんの新刊「さよなら、俺たち」(STANDA!BOOKS)の帯文を書きました

 

また更新します。

個人的な三月

久しぶりに自費出版で日記を出します。

その名も「個人的な三月 コロナジャーナル」。コロナの雲行きが一気に怪しくなったと自分で感じた2月末から3月末までの約1ヶ月、毎日日記を書きました。気づけば6万字を超え、二段組96ページに。2020年のことをこの先忘れることはないと思います。まだまだ事態は収束せず、先も見えない状態ですが、自分のため、そしてお世話になっている本屋さんを応援するためにも作ってみました。1ヶ月分の日記に、あとがきのようなエッセイ「四月も継続中」を書き下ろし。1200円+税、どうぞよろしくお願いします。

 

「個人的な三月 コロナジャーナル」

著者 植本一子  ブックデザイン 坂脇慶  編集 柴山浩紀 2020/4/30発行

 

・増刷します!5月中旬完成予定(5/2更新)

・新規取扱店舗が増えました。増刷完成後の取り扱いになるかと思います。(5/11更新)

・増刷分が到着するのは22日以降となりました。(5/19更新)

・増刷分を各店舗に発送しました。(5/22更新)

 

 

以下の本屋さんに置かせてもらっています。

※店舗に行く際は事前にホームページで営業時間などのチェックをお願いします。

 

(東京)

青山ブックセンター 店頭販売&オンラインショップ

古書コンコ堂 基本店頭販売・通販も可

TRASMUND 店頭販売

BOOKSルーエ 店頭販売

ブックギャラリーポポタム オンラインショップ

Amleteron 店頭販売&通販も可

SPBS オンラインショップ

小岩BUSHBASH 店頭販売&オンラインショップ

B&B 店頭販売&電話問い合わせで通販も可

 

(愛知)

ON READING 店頭販売&オンラインショップ

 

(大阪)

blackbird books 店頭販売&オンラインショップ

スタンダードブックストア オンラインショップ(近日店頭販売も開始)

FOLK old book store オンラインショップ(近日店頭販売も開始)

POL 店頭販売

シカク オンラインショップ

長谷川書店 店頭販売

 

(京都)

メリーゴーランドKYOTO 店頭販売&オンラインショップ(メールや電話の注文も可)

ホホホ座 店頭販売&オンラインショップ

待賢ブックセンター 店頭販売&通販も可

 

(滋賀)

半月舎 オンラインショップ

 

(富山)

古書いるふ 店頭販売

 

(新潟)

BOOKS f3 オンラインショップ

北書店 店頭販売

 

(福島)

culture オンラインショップ

 

(岩手)

BOOK NERD 店頭販売&オンラインショップ

 

(広島)

READAN DEAT 店頭販売&オンラインショップ

 

(福岡)

とらきつね オンラインショップ&店頭販売(ただしたまにしか開かないです)

ブックスキューブリックけやき通り店・箱崎店 店頭販売&オンラインショップ

 

(高松)

な夕書 通販&Uber Books 藤井さん070-5013-7020

BOOK MARUTE 店頭販売&オンラインショップ

 

 

 

 

 

私がやっている通販、石田商店でもそのうち売る予定だったのですが、在庫がだいぶ怪しくなってきたので、ひとまず上記の本屋さんでお買い求めいただけると良いかと思います。

石田商店ではこの後もECDTシャツの新作を準備中ですのでお楽しみに!(2020/5/2更新)

石田商店でも通販始めました。Tシャツもよろしくお願いします。(2020/5/23更新)

 

広島での質問にいまさら回答

みなさん、お元気でしょうか。私は元気です!

2月なんて遠い昔のようですが、去る2月9日にREADAN DEATさんで、広島市現代美術館の学芸員であり、「アカルイカテイ」展に私を誘ってくれた竹口浩司さんとトークをしたんですね。その際に、聞きにきてくれたお客さんから事前にみっちり質問を受け付けていたのですが、答える時間がほぼなかったのです!それでいまさらなんですが、ずっと気になっていたので、ここで張り切って答えさせていただきます!

いただいた質問はそのまま書き起こしました。私には難しい質問があったのですが、それには竹口さんが代わりに答えてくれました。大変遅くなりました。ではどうぞ。

 

 

 

質問回答集 2月9日日曜@READAN DEAT (広島)

Q.「自分を大切にする」ってどうすることだと思われますか?どうあればよいと?

A.自分が嫌だと思うことはしないことじゃないですかね。それをするのが難しい場合もあると思うのですが、例えば、誰かと嫌な雰囲気になった時、サッとその場を離れます。空気を読むとその場からなかなか離れられなかったりする。でも勇気を出して無言で離れるのです。あの人空気読めないねと言われても構いません。自分が傷つく場所や人からはすぐ逃げる、そんなイメージでしょうか。

 

 

Q.結婚を考えている恋人がわたしの家族に会うことを嫌がります。彼とわたしの人生の問題であって、家族は関係ない、と。家族と彼の関係は諦めるというか、もう気にしない方がいいのでしょうか。これも家族や結婚の理想にとらわれていると思いますか?

A.実は私の彼も、もし結婚するとしても、家族には会わなくても(言わなくても)いいんじゃない?派の人間です。まさに、親は関係ないでしょ、と。でも、家族うんぬんというより、彼がどんな環境で育ったかというのを知りたいという点では、会ってみたい気はします。結婚、血縁、家族となると一気に重たく感じますが、人に興味がある、というスタンスなら話は別なような。結婚しなくたって一緒にいられたらいいや、と思えるようになったら随分楽です。

 

 

Q.植本さんは写真の他にエッセイなどを書かれていますが、それぞれに影響していることなどがあれば教えてください。また、写真やものを書くこと以外にやってみたいことはありますか。

A.それぞれに影響というよりは、写真で残しきれないところを文章で補っているという感じです。逆も然り。写真も文章も、基本的にはお金を稼ぐための術としてあるので、やってみたいことといったら、何か他にも手に職・・・とまでは言いませんが、小銭が稼げることが見つかるといいなと思います。一時期は、オフィス街でお弁当を売ろうかとも考えていました。

 

 

Q.家庭と仕事、その他さまざまなことをになう中で「自分を放棄してしまう」ということを多々感じています。女性は、そんなにたくさんのことを、あきらめなければならないのでしょうか。毎日、くやしいです。

A.諦めたくないですよね。今の私には何と答えていいのかがわかりません。が、私はその悔しさを忘れないようにしています。いつかタイミングが来た時に、バネにするためにも。

 

 

Q.今日みたいに人前でお話しするなど、何かを表現するのはドキドキですか?ワクワクですか?

A.ドキドキですよ!人前は、慣れることがありません。なるべく目立ちたくないと思って生きてきました。

 

 

 

Q.カメラマンの仕事と写真家としての仕事への向き合い方は違いはありますか?子供達の写真は、表情が作られてなくて生活の一部を切り取った感じで好きです。

A.カメラマンの仕事は責任が伴うので、絶対に失敗出来ません。写真家としての仕事は、仕事という心持ちで写真を撮っていないので、かなりのびのび好き勝手に撮っていて、それが運良く作品になっているのだと思います。こう見えて娘達は表情を作ってくるんですよ・・・良いのか悪いのか。

 

 

Q.広島市現代美術館に展示されている大きな5枚の写真の中に、石田さんがピースをしている写真がありますが、何か声をかけられたのですか?いつも被写体の方には、ポーズをとらないで~と自然体で写真を撮ると何か読んだ気がしたので・・・

A.あの写真は指示をしたわけではなく、石田さんがピースを向けてくれたんですね。結果的に、生きてる石田さんの最後の写真となりました。号泣しながら撮ったのを覚えています。ポーズをとらないで~と言ったところで、「ポーズをとらないポーズ」になってしまうんですよね。難しいことですが、その人らしい写真が撮れたらとは思っています。

 

 

Q.写真家さんの給与事情をさしつかえない程度で教えてください。展覧会などは枚数でのギャラなのですか?

A.写真家にもいろんなタイプの人がいるので、私の場合でしか答えられませんが、今は主に天然スタジオでの撮影と、雑誌の撮影での連載が一本、あとは不定期に入ってくる撮影の仕事で稼いでいます。天然スタジオが主軸になる月もあれば、不定期に入ってくる仕事の金額が大きい時もあります。常にとっても不安定です。2020年4月現在、今月の撮影の仕事はコロナの影響でゼロなのですが、その代わりに文芸誌の執筆や雑誌のアンケートの回答が増えました。在宅でもできる仕事を増やしていかないとまずいですね。展覧会のギャラは枚数ではなく、一つのプロジェクトという感じで頂きました。

 

 

Q.一番好きな写真家はいますか?

A.一番と言われるとパッと思いつかないのが、写真家としてどうなのか・・・とも思うのですが、上田義彦さんが昔撮っていたサントリー烏龍茶の広告写真は大好きで忘れられないですね。

 

 

Q.自分の家族の写真を作品にするにあたり写真に自分の気持ちがあふれすぎて作品として成立しないことはないのですか?自宅の中や家族を作品に出来ることが私にはしづらいので(客観的にとらえられないので)聞いてみました。

A.自分の気持ちがあふれすぎるということは、私の写真では想像できないのですが、あふれすぎるというよりは感情の波が撮る量に反映されているなとは思います。写真集でも、10年分をまず時系列に並べてみたのですが、子供達の写真は常にあるのに、石田さんの写真が一枚もない時期があったりしました。私としても、自分の身の回りが作品となっていることは、どこか不思議でもあります。作品を作っているという意識で写真を撮る瞬間は、無いと言ってもいいくらいなので。

 

 

Q.愛読書を教えてください

A.エッセイがいまいち書けない時は、岸政彦さんの「断片的なものの社会学」(朝日出版社)をめくると、不思議とまた書きたくなるので、指針として大事にしています。

 

 

Q.朝起きて1番にすること、また1日の終わりにすることを教えてください。最近よくきく音楽orミュージシャンはだれですか?

A.朝起きてまず携帯を見てしまいます。寝る前にも携帯を見てしまいます。よろしくないです。音楽は電車移動の時に主に聞くんですが、外出自粛で電車に乗らなくなったので、最近は本当に音楽を聞いてないんですよね。「テレフォン人生相談」というラジオ番組がYouTubeに違法アップロードされているのを、家では作業中によく聞いています。

 

 

Q.今一番わくわくする時間はどんなときですか?すべてから逃げだしたくなった時の対処法はありますか?決断に悩んだ時のジャッジの仕方を教えてください。

A.わくわく・・・天然スタジオや、仕事で撮った写真の現像をしている時は楽しいですね。現像して、写真を完成させてこその世界なので、仕上げる過程はわくわくです。逃げ出したくなったら・・・昔は誰かを好きになることで逃避していた面もあるのですが、一番危険な方法をとっていたなと思います。一瞬は効くんですが。決断に悩むということがあまりないんですよね。とにかく直感重視、自分が最初に良いと思ったものを選ぶようにしています。

 

 

Q.お子さん達の言葉で心の残っているものはありますか?幸せを感じる瞬間はどんな時ですか?

A.下の娘が入院中の石田さんに言った「かなしくなったらグッドして」ですかね。拙著「家族最後の日」(太田出版)の帯文にも使いました。幸せは、次の日に仕事がない時ですね。

 

 

Q.最近読んで面白かった本はありますか?

A.ここぞとばかりに積読を消化しているのですが、青山ゆみこさんの「ほんのちょっと当事者」(ミシマ社)がすごく良かったですね。読み終わるのが惜しかったです。

 

 

 

Q.植本一子さんの写真の構図が、横位置から縦位置に変わったのは、どうしてですか?縦にカメラを構えるのは、身構えて写真を撮る気がするので気になりました。

※今回広島でのトークの相手を務めてくださり、「アカルイカテイ」展の担当でもある、広島市現代美術館の学芸員・竹口浩司さんに答えていただきました。

A.どうしてでしょうねえ。なんて言っちゃうとはぐらかしているみたいなので、ちゃんと言葉にしたいと思います。ただ、なにかが変わったことに対する正しい理由を求めようとすると、どうしても嘘っぽくなっちゃうので、ぼく(=竹口)は基本的に「どうして」ではなく「どのように」を考えるようにしています。つまり、どのようにして横位置から縦位置に変わったか。それによって、どのように植本一子さんの表現が変わったのか、あるいは変わらなかったのか、ということです。

まず確認しておきたいのは、植本さんはコンパクトカメラを使うことが多いので、縦位置で撮る場合も一眼レフを使うよりわりと楽に撮れるということです。あと、植本さんはよく人物を撮るので、横位置よりも縦位置の方が画面におさまりやすいということもあるしょう。なので、植本さんが縦位置で写真を撮ることはそれほど不思議でもないのですが、実際には2018年あたりから縦位置の構図が格段に増えました。そうなると、どうしても石田義則さんのことと結びつけて考えたくなるのですが、それはちょっと我慢して、もう少し確認作業を続けましょう。

植本さんは写真を撮るときに、フォーカスロック(いったん画面の真ん中でピントを合わせて、シャッター半押しでピントをロックしたまま構図を変える機能)をあまり使わないようです。人物や人物の顔を画面のほぼ中央に据え、ピントを合わせると言うより、そのまま一気にシャッターを押し込みます。カメラを二段階に構え直すのがまどろっこしいのかもしれませんし、画面を構成するという作為をなるべく抑えようとしているのかもしれません。ともあれそれらのことは、写真家として作品をつくろうとするよりも、生活者として記録を取ろうとする姿勢の現われとして理解できるかもしれません。どれもこれも「かもしれません」でしかないのですが、確実に言えることは、結果的に画面の上半分ががら空きになるということです。がら空きとはいえもちろん何かは写っていますが(屋外なら木や電線や空など、屋内なら壁や天井など)、それらは被写体とは直接関係のないような、むしろ「写ってしまった」ものと言えます。

そのがら空き具合は、横長(横位置)よりも縦長(縦位置)の画面の方が目立ってしまいます。ひとつは人間の視界が横に広がっているから、縦長に切り取られた画面に目が慣れておらず、不自然に見えてしまいがちだという理由があります。単純に、左右にあるものは目だけ動かせば視界にとらえることもできますが、上下にあるものは、顔ごと動かさないと見えない場合が多いということです。もうひとつの理由として挙げられるのが、横長の画面だと構図的に安定感が生まれ、まとまりのある静かな印象を与えますが、縦長は安定感より上昇感などの動きをもたらし、場合によれば落ち着きの悪い印象を与えてしまうということです。ただしこれらは全て相対的な比較の問題で、良し悪しを決めるものではありません。

「がら空き」だとネガティヴに聞こえるので、「余白」とすこしポジティヴに言いかえるといいかもしれません。横位置であれ縦位置であれ、植本一子さんの撮る写真はいつも余白に開かれています。それは植本さんが被写体にぐっと近寄ってではなく、被写体からすこし離れてシャッターを切ることが多いという物理的な条件が作用しています。ちょっと引いたその距離感は、植本さんがいわゆる「引き」の構図が好みだからかもしれませんし、じつは意外と人見知りだからかもしれませんが(また「かもしれない」連発ですね)、その距離感だからこそ、写真を撮っている植本さん自身が被写体と被写体を取りまく光景を、ときにそっと覗いているように、ときにやさしく見守っているように感じさせるのです。

植本さんの写真における「距離」は、植本さんと被写体とを隔てる厚い壁としてあるのではなく、植本さんと被写体を隔てもするし、守りもするし、包みこみもするし、つなげもする、曖昧で伸び縮み可能な透明の膜のようなものなのです。ゆえに越える必要や詰める必要もはなからなく、むしろそこにあることが悦ばしく、身をゆだねることができるもの。距離に対するこの感覚は、植本さん生来のものか後天的なものかは分かりませんが、写真との関係で言えば、先述した「生活者として記録を取る」態度につながるように思います。

つまり、被写体と被写体を取りまく一瞬の光景を自身の掌中(あるいはカメラという箱の中)に収め、永遠の相へと移送しようとする作家としての欲望ではなく、被写体と被写体を取りまく光景に居合わせることができた奇跡、時間と空間を共有することができた刹那を重ね、次々と上書きしていくことで自身の生活をかたちづくろうとする希望。そこでは、生活することがそのまま表現することへと接続されていくのです。

すこし話が込みいってしまいました。言いたいのは、植本さんが撮る写真、あるいは写真を撮るという営みは、カメラを横に構えようが縦に構えようが変わらずにあるということ。そのことを「余白」や「距離」という植本さんの写真を特徴づける(と思われる)視点から見ると、2018年頃から増えてきた縦位置の写真は、余白への開かれが先鋭化され、空間的な余白としての距離の可能性が高められた、いっそう「植本さんらしい写真」になってきたと言えるのではないか、ということです。

たとえば展覧会でも大きく伸ばして展示したこの写真。植本さんが「自分もこういう写真が撮れるようになったんだ、と思えた」お気に入りの写真で、玄関にも飾っているとか。当初ぼくはこの写真の良さが分かりませんでした。有り体に言えば、画面の上と下ががら空きで、構図として散漫に思え、写っている場面もごく日常的な、取り留めもない印象しか持てずにいました(と、分かりやすくするために、ちょっと盛って書いていますが)。しかし大きいプリントを日々ずっと眺めていると、ぼくもちょっとずつ植本さんの目に近づくことができるようになったのか、素直に「いい写真だなあ」と見とれるようになりました。

ぼくのなかで起こったその変化は、我ながら不思議な、興味深いものでした。ただしそれは、正確に言えばぼくのなかの何かが変わったというよりも、構図がどうのこうのと言って真ん中の3人を一瞥だけして終わらせる態度から、写された3人だけでなく余白や距離のなかに写ってしまっているものまでもいっしょにじっくり見ようとする態度へと変わったにすぎません。そうすると、たくさんのものが見えてきました。

一見邪魔に思える左の電信柱からはここが高円寺であることが分かり、奥の方にはワンピースを着せられたボディが唐突に立ち、自転車に乗ったおじさんがこちらにゆるゆると向かってきています。道路が一本道でなくジグザグしていて、道路に沿って電線が空に複雑な線画を描いているのも画面に動きを与えています。やがて真ん中の3人のなかで交わされる視線、その関係性が見えてきます。そして視線のひとつが画面から飛び出し、カメラを構えている植本さんにも向けられていることにも気付きます。この写真には、被写体と植本さんとの関係性も写ってしまっているのです。なんて豊かな余白であり、距離でしょう。

最後に光があります。画面に写っているもの、写ってしまっているもの、あるいは存在の有無にかかわらず全てを等しく包み込んでくれる、フラットな光こそが植本さんの写真の真骨頂なのかもしれません。その同じ光のなかにいられたことに対する植本さんの悦びが、写真を通して伝わってきます。

「どうして縦位置の写真に変わったのか?」 その答えを出すには、おそらく植本さんの次の変化を経てからでないと難しいでしょう。まだ時間がかかりそうです。ただ、石田さんの病や死がある程度影響していることはたしかだと思います。目に見えるもの、手に触れられるものよりも大切で、愛しいものがちゃんとあって、それらを迎え入れることを自身の表現の核にしようとする、無意識的な現われではないかと想像しています。(竹口浩司さん)

 

 

 

以上になります。竹やんの言語化!相変わらずすごい・・・トークでもたくさん喋っていただき、言語化・・・!と驚いたのですが、今回こうして私の写真について文字にしてもらえて、とても嬉しかったです。我がことながら、貴重!

 

質問を考えてくださった皆さん、ありがとうございました。また広島に行ける日を楽しみにしています。

 

 

写真展

あけましておめでとうございます!

 

広島でのグループ展、告知するって言っておきながら、すっかり忘れてました・・・12月21日から広島市現代美術館にて企画展「アカルイカテイ」に参加しています。初日はアーティストによるグループトークがあるとのことで、広島に帰っておりました。前日に展示のチェックのために前入りし、美術館に寄って一瞬でチェックしたら、平和記念公園から宮島へ船で渡り(昔はこんな便利な船なかったよ!)小1時間宮島を満喫した後、とんぼ帰りで市内へ戻り、夜の流川へと繰り出し・・・(以下略)子供達も連れて行くことが出来(成長!!!)、初日を含む2泊3日の弾丸でしたが、大変楽しゅうございました。

 

展示はみなさん素晴らしく、とても面白いものになっているので、同時代に生きてる人は全員観に行かれるようお願い致します。今回の企画をしてくれた学芸員の竹口さんが目立つ&面白いので、ギャラリートークなど是非参加されてみてはどうでしょうか。わたしも、もう一度展示期間中に広島に行く予定を作ったので、また詳細お知らせします。2月の予定です。

フライヤーやらポスターのビジュアルに、我が家の写真が使われているのですが、隣に大きく「明るい家庭、どこにある?」とのキャッチコピーがあり、わたくしは大変しびれました。

アカルイ カテイ 広島市現代美術館

植本一子ら11名が出展「アカルイ カテイ」展、作品を通して見る家庭や家族のかたち

 

さて!!!!!

 

そして、東京では写真集の出版記念写真展が渋谷のnidi galleryで始まります!

1/10が初日!そして1月11日土曜18時からはレセプションパーティーという名の全員集合サイン会があるので、是非是非どなた様もご参加ください。ベルキューブとワインくらいなら出ます!出します!!!

そしてこの写真集「うれしい生活」の写真展では、会場でしか買えない植本一子オリジナルチョコレート(!)やら、ECD三周忌ロンTeeなど物販多めでお待ちしています。その辺の詳細は植本のツイッターやらインスタを見てもらった方が早いです!

 

あっっっ!!!

年末に野村友里ちゃんのラジオに久々に出たんですが、まだタイムフリーで聴けるかな〜?

 

 

今年もよろしくお願いします。

うれしい生活

19歳の時の新人賞が写真家としてのスタートだとしたら、キャリア16年目にして初めて写真集を作ることが出来ました。帯にもあるように、ここ10年の、私と石田さん(とたくさんの周りの人たち)の記録になっています。是非手にとって見てもらいたいです。これまで出してきたエッセイ集の副読本にもなるし、逆にエッセイ集が副読本だったんじゃ・・・?とも思える一冊になっているかと。

早いところでは今週金曜あたりから店頭に並び始めます。週明け(12/2)あたりには確実に並んでいるかと。

是非、書店でご予約、お買い求めくださいませ。

 

いくつか関連イベントが決まっています。

2019/12/7(土)17-20時 「うれしい生活」サイン会

@古書コンコ堂 東京都杉並区阿佐ヶ谷北2-38-22

いつもお世話になっているコンコ堂で著者自ら手売り&サイン会します。3時間だけ待ってます。

 

 

2019/12/14(土)15時〜 O JUN展「途中の造物」トークショー

@ミヅマアートギャラリー 東京都新宿区市谷田町3-13神楽ビル2階

今回のO JUNさんの展示の中に、ECDの小説「他人の始まり 因果の終わり」からインスパイアされた作品があるとのことで、オープニングパーティーにお邪魔したのが始まりでした。久しぶりに石田さんの話をしてみようかなあと思い、トークをお受けしたのですが、兎にも角にも是非その絵を見に来てほしいです。

最近異常に涙もろく、自分の写真集ながら、眺めているといろんなことを思い出して心が大変なのですが、友達から写真集の感想を軽く言われただけでも号泣寸前なので、O JUNさんとのトークも若干心配ですが、O JUNさんの絵に囲まれる貴重な機会なので、楽しくお話できたらなと思っています。

 

12月21日からは広島現代美術館で「アカルイカテイ」という企画展に参加したり、来年は1月から東京を皮切りに、名古屋、大阪と出版記念写真展をする予定です。それはまた近々おしらせします。

 

とにかく写真集をよろしくお願いいたします。

「うれしい生活」

名古屋大好き

今までにも名古屋は縁があってちょくちょく行っていたのですが(今年の9月にはあいちトリエンナーレに行きました)今回はトークショーでお伺いすることになりました。名古屋といえば本屋のON READINGですが、今回のスペースたのしいさんも本当に大好きなお店!初めての場所でのトークなので楽しみです。トークの聞き手にはON READINGの黒田さん!絶対の安心感があります!

 

そして、私のトークの前にアラスカ話をしてくれる平山さんは、愛知で庭師として素敵な庭を作られている庭おじさんなのですが、私に庭の撮影を頼んでくれたり、今回のトークの企画にも関わってくださっています。平山さん、とても仕事にアツいドレッドおじさんなので、寒い寒いアラスカのお話が楽しみです。

 

27日に予定している出張天然スタジオ・プチは予約がいっぱいなので詳細載せませんが、これからは出張天然スタジオを各地でやりたいと考えています。機会があれば、全国からお誘い頂けますと嬉しいです!

 

 

名古屋でのトークは今週末です!ぜひ!


10月26日(土)に東京より写真家であり、エッセイストであり、活動家の植本一子さんにお越しいただきトークイベントをスペースたのしいにて開催いたします。27日(日)には撮影会(出張天然スタジオ・プチ)を行います。

トークショー、撮影会のご予約は、space_tanoshii@yahoo.co.jp (スペースたのしい)又はInstagramのDMまで下記の必要事項をお送りください。こちらからの返信にてご予約完了とさせていただきます。

 

◇植本一子トークショー・平山郁夫のアラスカ話

トークショーの前半はアラスカから帰ってきたばかりの庭師の平山さんのお話をスライドショーやドローン映像を交えて同行したフレイトレシピのしんごさんとお話ししていただきます。
後半ではあらかじめ集めた植本一子さんへの質問をもとにon readingの黒田さんと対談していただきます。

10月26日(土)18:00 開場 / 18:30開始
料金1500円(当日2000円)

ご予約:
名前(ふりがな)/電話番号/人数/植本さん、平山さんへ質問ありましたらこちらへコメントください。

 

 

2019年ですね・・・出張天然スタジオin福岡

しばらくホームページさわってないな〜〜〜・・・と思っていたら、なんとちょうど1年前が最後の更新となっておりました(笑)やばくないですか?「フェルメール」の2018年があっという間に過ぎ、2019年もあと数ヶ月というところですね・・・今年の5月には、新刊「台風一過」を出版しました。そのお知らせさえ一切せず・・・植本さん生きてる?とお思いの皆さん、わたしは元気です。

 

 

 

 

 

さて、来たる10月13日14日と、福岡にトークショーで参ります。←詳細後日!

 

そのタイミングで出張天然スタジオを、福岡市にある大濠公園で行いたいと思います。

10月13日日曜

△予約埋まりました

10月14日月曜祝日

△予約埋まりました

各回1時間弱1組様ずつ予約受け付けます。

撮影料金は3万円、写真をデータにてメールで納品します。

撮影をご希望の方は

希望日・時間・名前(ふりがな)・住所・電話番号・撮影される人のプロフィール(家族構成・年齢など)・使用用途 を明記の上、 info@ichikouemoto.com までご連絡ください。

折り返しご連絡いたします。

 

 

 

 

 

年末には「働けECD〜わたしの育児混沌記〜」が文庫化、同時期に写真集も刊行予定です。12月21日からは広島現代美術館にてグループ展に参加します。またこちらでお知らせします!

 

もしくはツイッターインスタグラムをフォローしてください。←これが一番早い!

フェルメール

とうとう「フェルメール」が完成しました。私一人の力では決してできなかった、凄まじい一冊になっています。関わってくださった全ての人に感謝したい気分・・・こんな未来が待っていたなんて、人生は面白いです。今週頭に納骨も無事に終え、来週にはいよいよ本が発売です。写真展もあり、私は初日の夕方から在廊する予定です。よろしくお願いいたします!

出版記念

フェルメール 植本一子展

2018年9月21日(金)−10月7日(日)
※月曜・火曜日お休み
※9月24日(月・祝日)は開廊

【植本一子 トークイベント】(トーク内容の詳細は下段に)
9月22日(土) 17:00−18:30 ※【満員御礼】22日は満席となりました。
■「フェルメールの旅」(聞き手:村井光男/ナナロク社)

【村井光男(ナナロク社)×草刈大介(ブルーシープ)トークイベント】
9月29日(土) 17:00−18:30
■「ナナロク社とブルーシープが、一緒に本を作った話」
(トーク内容の詳細は下段に)

※準備のため両日とも15:45−16:30は一旦閉めます。
■参加費 1,500円(税込)ドリンク付き
■参加ご予約はShop Page もしくは、 info@booksandmodern.comまで

 

 

『かなわない』や『降伏の記憶』などで知られる写真家・文筆家の植本一子が、7カ国17の美術館を旅し、現存するフェルメール全作品を取材。
『フェルメール』(ナナロク社+ブルーシープ刊)が、2018年9月25日に刊行されます。

出版を記念し、本書のために撮影された写真約100点と日記の一部を展示します。
植本一子の眼差しと言葉を通して、世界のフェルメール作品を巡る旅をお楽しみください。

この新刊写真集を、一般書店に先駆け販売します。
※特典『フェルメール』未収録カットの特製ポストカード(複数種から1枚)をプレゼント。

 

http://booksandmodern.com

 

6月

うっわ・・・また気づけば2ヶ月も経ってました。毎月更新したい気持ち、あります。時が経つのが、早すぎるのです・・・。

 

 

 

・ちょっと前になりますが「STUDIO VOICE」で写真とインタビューする企画をやりました。娘と「家族最後の日」の担当編集柴山さんにインタビューしました。スタボ懐かしい!久々に参加できて嬉しいです。

STUDIO VOICE

 

 

・今週末!!!6月17日日曜昼間、新代田のFEVERというライブハウスでトークイベントに出ます。インタビュアーのユンウンデ先生との対談!この日が完全初対面です。何が起こるかよくわかんない。

尹雄大×植本一子 トークセッション「幸福の行方」

 

 

・はい!来ました!今年もロスアプソンのTシャツフェア。6月22日から24日!今年は久々にECDTEE出します。しかも3種類!私のツイッターかインスタでそのうちデザインを発表します。

LOS APSON?×LIQUIDROOM presents T-SHIRT! THAT’S FIGHTING WORDS!!! 2018

植本インスタ

 

 

・「ベスト・エッセイ2018」に選出され、本が6月15日発売です。去年の今頃書いた原稿です。錚々たる顔ぶれですが、ジャニーズとアイドルと並んだのは初めてです。

ベスト・エッセイ2018

 

 

・7月15日(日)は大阪は枚方T-SITEで武田砂鉄を聞き手に、好き勝手におしゃべりします。その前に武田砂鉄夫妻と娘達とバケーションで沖縄に遊びに行くので、思い出話をだらだらするかもしれません。沖縄、超超超楽しみ。余裕ぶっこいてたら宿が全部埋まってました。

【イベント】植本一子のいま!

 

 

・7月6日は「文藝」発売。連載が多分載ります。

文藝 2018年秋季号

 

 

・「トーチ」の連載が終了しました。21回書きました。ありがとうございました!

行けたら行きます 最終回

 

 

 

 

 

今月いっぱい原稿頑張って、来月は遊ぶ。